彼は 2005 年に現れた。
暑さに苦しむ企業戦士のジャケットを脱がせ、ネクタイも外させ、さらには長袖をバッサリ切り落とす。
そして彼は、「室温は28 度!」という捨て台詞を残して去っていく。
その様子から、私が子どものころに流行った名ゼリフ「ゲームは 1 日 1 時間!」を思い出してニヤリとしてしまう。
(関係ないが、そんな高橋名人にもらった直筆サインは今でも宝物である)
ちなみに補足すると、エアコンの設定温度を 28 度にするのではなく、室温が 28 度になるように調整しよう、と彼は言っている。
なぜなら、エアコンを 28 度にすると、室温はたいてい 29~30 度になっているからである。
ここを間違えると大変なことになるので、赤線を引いてほしい。
しかしそのクールビズ、どうやら万人に好かれている訳でもないようだ。
敵は「半袖+ノーネクタイ」を嫌う企業戦士。
ぶっちゃけ、その姿がカッコ悪いからだろう。
中には「ジャケット+ネクタイ=社会人 (常識人)」というイメージが強い人もいる。
かと言って、彼らが悪の軍団ということでもなく、私にもその気持ちはよく分かる。
とにかくクールビズはファッション性が低く、見た目がショボい!
なぜなら、クールビズは日本生まれなので、百貨店などに入っている海外のブランドショップに行っても、残念ながら半袖のオシャレなシャツなんて売っていない。
つまり、日本のシャツショップに置いている「大量生産のシャツ」から選ぶしかないのである。
これが大きな原因ではないだろうか?
もちろんジャケットやネクタイがない分だけ、他人とカブる可能性も非常に高くなる。
他人と同じ格好をしたくない、規則から外れるギリギリを狙いたい「不良」的な発想を持つ私にも、この現状は耐え難い。
もう中学生じゃないんだから、とさえ思う。
クールビズの「クール」には、「涼しい」のほかに「カッコイイ」という意味も入っていたはずではなかったか?
ルールを守っているか? ではなく、いかにクールか? を評価できないのか?
今は涼しいを通り越して、残念ながら「寒い」状態になってしまっている。
おそらく、芸人なら一発退場だろう……。
また、その状況でどうしてもやっていまうのが、「他社はどうしているか?」の観察。
ポロシャツや私服で来社されたときには、もう「スゲーうらやましい!」のひと言しか出ない。
来客の服装から、その人の会社 (人事?) の心の広さを伺ってしまうからである。
極端に言えば、「おたくの会社、まだスーツ着てるの? (笑)」というところまで行ってほしい。
長々と書いてしまったが、他人の目を過剰に気にしてしまう日本人を「クールビズ」というヒーローが本当に救える日は、まだまだ遠い。